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=院長日誌補足=
「小児歯科について」
2001/06/30 (土)

読んでもらえる幸せ
 自慢じゃないけど、モノゴトを継続するのは苦手である。
 この日記「院長日誌補足」が一年間続いたのは今世紀初めての奇跡とも思える。

 もちろんそれ以前、日記を継続的に書いたことはなかった。
 人に読んでもらう、というのが快感と感じたのかも知れない。

 僕の父は医者である。でも医学部に入る前に、とある大学の「文学部」に一旦入学したらしい。
 「小説家」になりたかったらしいのだ。

 僕は、自分の文章は時に非常に判りずらい点があると反省している。時々読み手に誤解を与えることもあるようだ。

 しかし、「何かを書いて、人に読んでもらう」ことを喜びと感じるのは、父の遺伝かも知れない。
 父は今でも自分なりに「小説」を書いているらしい。もっとも、書くだけ書いて、どこにも発表していないのだが・・・

 書いた文章をすぐに不特定多数の誰かに読んでもらえる環境にある僕は幸せ者かも知れない・・・
2001/06/29 (金)

下心
 実は、今月「小児歯科」について集中して書こうと思ったのにはわけがある。
 下心からである。娘が以前通っていた幼稚園から、「今年から園児の歯科検診をして欲しい」と頼まれ、その検診が今月初めにあったのである。

 そして、検診結果の紙にさりげなく当サイトのアドレスを書いておいた、というわけである。

 メールでの問い合わせは一件もなかった。誰も見てくれなかったのだろうか?・・・
 先月までのアクセスカウンターの増加率とほとんど変わっていないので、新規に来られている方はほとんどいないということであろう・・・

 まあ、それはそれでよい。
 僕は数ある情報伝達手段のうち、ホームページというものが威力があると感じているが、本当に情報を見て欲しい人がどれだけ見てくれているかは判らない。

 自分は自分なりに「小児歯科観」を持っているし、近所の他の歯医者よりはコドモの扱いに長けていると自負している。
 でも、広告規制もあり「表立ってのアピール」ができないのが現状だ。

 せめて当サイトをご覧になった方で、小さなお子さんがいる方は是非今月書いたことを参考にして欲しい。
 もし、困ったことがあったら、メールででも相談して欲しい。

 「デジタル・デバイド」とはよく言ったものである。自分からいろいろと切り拓いて行く人とそうでない人の「格差」は今後ますます広がっていくだろうなあ・・・
 まあ、それはインターネットの世界に限ったことではないが・・・
2001/06/28 (木)

再びフッ素について
 今月の中ごろ、フッ素について少々述べたが、患者さんに尋ねられたり、ご質問のメールもあるので、再び書く。

 まず、フッ素は「コーティング剤」ではない。歯の表面に「膜」のように張り付いて、虫歯菌から歯を守る、という性質のものではない。

 歯は「外界からわずかではあるが水分を吸着する」という性質がある。そして、絶えず唾液などを取り込み、その中のカルシウムを補給している。
 その際、唾液に「フッ素化合物」があると、成分として取り込み、結果として歯の質が虫歯になりづらい性質となる、という原理を応用したものである。

 一度取り込まれたフッ素は半永久的に留まるはずである。ところが一度に取り込まれる濃度は限られている。そのため何回かに分けてフッ素を塗布する必要が生じる。

 塗布する一番いい時期は「歯が生えて直後から半年後」くらいまでであろう。
 乳歯の場合は2歳から3歳にかけてくらいが、ベストである。永久歯であれば順次生えかわってくるが、だいたい6歳から12歳くらいまで、年に2〜3回塗布するのがベストであろう。

 フッ素塗布にマニュアルはない。上記の方針は僕独自のものである。
 別な歯医者さんは、また別の方針とかスケジュールがあるかもしれない・・・
2001/06/27 (水)

迷惑な食材
 「遺伝子組み替え食品」というのがいろいろ問題となっている。
 そもそもは「農薬の使用を控える」目的や、「発展途上国での食糧不足」に対応するために開発されたものと、勝手に理解している。

 見た目では全く区別が付かないので、いわゆるDNA鑑定をしなければ見分けがつかない。

 これは実に迷惑なハナシである。
 遺伝子組み替え食品は生体にいかなる影響を及ぼすか、はっきりとは判っていない。系代的に副作用が及ぶかも知れない。
 数世代後の生物に重大な瑕疵が及ぶかも知れない。口にしないに越したことはないと思う。
 が、それはそれで、ここでは問題にしない。

 昨今遺伝子組み替え食品が「原料として混入する」という事象の報道をよく目にする。食品メーカーも大変だと思う。
 問題にしたいのは、そういう迷惑な食材が登場しさえしなければ、いらぬ検査をする必要もなかったろうに・・・そして、そのいらぬ検査のコストは「ひいては」消費者にかかってくる、ということなのである。

 「遺伝子組み替え食品」を口にしなければいい、という問題でもなさそうだ。口にしないということの方が手間がかかるのだから・・・
2001/06/26 (火)

円周率
 円周率の話題がいろいろな掲示板で見受けられる。小学校で今後「円周率はおよそ3である」と教えることに賛否両論のようである。

 僕はどちらでもよい。3でも3.14でも概数であることに変わりないからである。

 日本人は結構細かい数字にこだわる。自動車のカタログを見て、148馬力よりも152馬力の方が良く見えてしまう。
 また100分の1の精度、というより1000分の1の精度、と言った方がなんだかとてもエラク見えてしまうようだ。

 そのせいか、日本は「精密機械」の分野においては世界一の技術力を持っているのではないかと思う。ものすごい精密な工業用ロボットよりも「職人技」の方が精度が高いということも多々あるらしい。

 スウェーデンに「ハッセルブラッド」というカメラメーカーがある。
 中版カメラでは世界に名をはせているカメラであり、カメラ好きなら一度は手にしてみたい名品である。
 ところが、このカメラ、日本の基準からすると部品の精度などがかなりアバウトらしい。

 でも組み立て、調整すると、精度が高い製品に仕上がるという。
 一個一個の部品には必ずプラスマイナスがある。そのプラスマイナスの精度を高めていく、という手法ではなくトータルでプラスマイナスをゼロに近づけていく、という生産方法らしいのだ。

 円周率は別に3でもいいと思う。その分、トータルの教育の質を上げて欲しい。
2001/06/25 (月)

史上最悪の猛獣
 ゴメンナサイ、ごめんなさい。2日も日誌の更新をサボってしまいました。
 理由はひとつ、都議選の応援に行っていたからです。(ってのは冗談ですが)
 ちょっと野暮用で多忙だったことと、意外と「小児歯科」ネタがなかなかないためです。

 「ウォーターワールド」という映画がある。
 将来、地球温暖化が進み、地上のほとんどが「海に覆われている世界」を描いたものである。

 この中に突然変異で「エラ」が生じた「主人公」が登場する。
 22日に書いた内容を見て、突然思い出したのであるが、この「エラ」は耳の後ろに付いている。

 恐らく発生学上「無理」がある設定だろう・・・

 映画と言えば、これまた22日ビデオ発売となった「ダイナソー」を買ってきて観た。
 まあ、きれいなリアルなCGにビックリしたことは確かなのだが、ストーリーはあまりに単純であり、「コドモ向け」の域を出ていないと強く感じた。

 「草食動物」は善で、「肉食動物」は悪、という設定も気になる。
 草食動物には草食動物の論理があるし、肉食動物には肉食動物なりの「生きていくための掟」があるはずだ。

 まあ、意味もなく殺生(せっしょう)する「人間」が恐らく史上最悪の猛獣だろう・・・
2001/06/22 (金)

成長の過程
 コドモの成長を見るのは面白い。
 何が面白いと言って、「生物の進化」を「再現」しているかのようであるからである。

 受精したばかりの卵はもちろん「単細胞動物」である。そして何度も何度も卵は分割して成長していくが、ある時期には「エラ」すら存在するらしい。
 発生学という学問があるが、その用語で「鰓弓」という言葉はまさにこの「エラ」にまつわるモノであり、人間にもその「なごり」が残っているという・・・

 生れた赤ん坊が成長していく過程も、まさに生物の進化そのものである。
 歩行までの過程でも一度「四足歩行」を経る。
 言語を獲得していく様子も、きっと進化の過程さながらなのであろう・・・

 もちろん「DNA」には人間がここまで進化してくるに至った全てのルーツが盛り込まれてあるはずである。
 就寝時、「得体の知れないモノに追いかけられる夢」を見るのは、その昔、まだ弱小哺乳類だった頃、肉食恐竜などに追いかけられた体験がDNAに残されているためと言う。

 そう言えば、僕も夢で「何かに追いかけられている」時、足だけで走るとうまく走れずに、手を地面に着いて走ると上手く走れることがある。恐らく「四足動物」だった頃の記憶がDNAに刷り込まれているに違いない、と勝手に解釈している。

 飛ぶ夢を見ると、「もしかしたら僕の祖先の一時代は鳥だったのかなあ」なんて考えてしまう。

 さて、今晩は何の夢を見るだろう・・・
2001/06/21 (木)

Y君
 二ヶ月くらい前に初診で来た小学1年生のY君は、最初随分とメソメソした男の子だった。
 虫歯が進行して顎の骨にまで炎症が及び、ホッペタが腫れていたのであるが、なかなか治療をさせてもらえず「ちょっとずつ削る」を数回繰り返し、少しずつ慣れていった。
 なんとか「根の治療」までこぎつけて最終的に詰めるところまで行くことができた。

 その治した歯以外にも「小さな虫歯」があった。
 母親に「小さな虫歯であり、仮に数ヶ月放置しても急速に拡大する恐れはない。もし治療がしんどかったら数ヶ月に一度経過を見せてもらう形にしてもよいか?」と問うたところ、母親もその方針でよいという返答だった。

 ところが、そのやりとりを傍らで聞いていたY君は、「センセー、この虫歯も治しちゃって」と言う。

 ここ一ヶ月で随分進歩したものだと僕は嬉しかった。
 親よりコドモの方がエラく見えた。

 Y君は細身でメソメソしていて頼りない感じがする子ではあるが、口は非常に達者である。なんとなく自分の幼い頃を見ているようで、エールを送りたいと思った。
2001/06/20 (水)

種の疲弊
 最近の事件や事故をみるにつけ、「命を粗末に扱いすぎる」きらいがあるかな?と感ずる。いったいどうしてこんなことになってしまっているのだろう?・・・

 ちょっと大げさな物言いをすると、「種の疲弊」を感じてしまう。

 例えば、ある種の弱小哺乳類は数が増えすぎるとエサにありつけなくなったり、テリトリーが守られなくなったりして、大量に移住を試み、川などに一斉に飛び込むらしい。
 集団自殺のごとく見えるらしいが、真偽は判らない。
 移動しようとして、川などを越せず、大量に水に入ることによって累々と死骸を築き、その上を渡って川を越えようとしているのかも知れない。

 海などに入水する場合もあるらしいが、これも海の広さや深さを知らず、その向こうにある新天地を求めてそういう行動をとるのかも知れない。

 まあ、一定以上増えすぎることによる「種の絶滅を防ぐ手段」というのが一般的な解釈だろうが・・・

 少子高齢化、子育てが苦手な親の出現、社会全体としてコドモを大事にしない風潮、そして命を粗末にする事件・事故の増加・・・こういった一連の動向は上記の動物のごとく、「人類はこれ以上種を繁殖させることを拒んでいる」のではないかと思ってしまう今日この頃である。
2001/06/19 (火)

乳歯の特殊性
 乳歯は永久歯に比べていくつかの「特殊性」がある。
 親御さんにも知っておいて欲しい。

 第一に「歯の大きさに比べて神経の入っている空洞が大きい」ことである。どういうことかというと、アっと言う間に虫歯が神経に達してしまう恐れがあるということである。

 第二に「虫歯になっても症状が出づらい」ことである。結構大きな穴に発展してもなかなかしみたりしないのである。
 痛くなったら歯医者に見せよう、と考える親御さんもいるようだが、痛くなったらもうアウト(神経を取らなければならない)であるケースが多い。場合によっては神経に達するような深い虫歯でもほとんど症状が出ず、炎症が骨にまで波及して「腫れて」きてからようやく受診される方もいる。

 第三に「乳歯はもろい」ということがあげられる。歯の質も弱く、虫歯になりやすいし、特に前歯の場合細くて折れやすい。
 また、歯の質そのものの性質により、詰めたものが取れやすかったり、詰めた横から再度虫歯になることも多々ある。

 なぜ、上記のような特徴があるのかは判らない。まあ、生えかわることを前提に永久歯よりも弱い仕組みに神が仕向けたとしか思えない。
2001/06/18 (月)

仕上げ磨き
 昨日は過労でお休みしてしまいました。ゴメンナサイ。

 さて、お子様を持つ親御さんに気を付けていただきたいことが一つある。
 お子さんに「歯を磨きなさい」と何度口を酸っぱくしていってもダメである。実際に仕上げ磨きをしてあげて欲しいのである。

 もちろん「歯を磨きなさい」と言うことすらしないよりかはマシなのであるが、得てしてコドモ一人に磨かせてもちゃんと磨けないことが多い。というより、ほとんどちゃんと磨けるはずがない。

 実は僕も乳歯の時は虫歯がたくさんあった。
 乳歯の奥歯の虫歯が原因で腫れたり、結構痛かった記憶もある。

 親は毎日「歯を磨きなさい」とは言うが、口の中をよく見たり、仕上げ磨きをしてもらったことはなかった。

 とにかく嫌がっても泣いても仕上げ磨きをしてあげて欲しいのである。
 磨き方は特にこだわらない。とにかく全ての歯の面にブラシの毛先を当ててゴシゴシとこするだけでいいのだ。ヨコ磨きでもタテ磨きでもよい。

 そして、できれば、寝る前にでもフロスをかけてあげれば完璧である。
2001/06/16 (土)

フッ素より有効な歯磨き
 もし、コドモに虫歯を絶対作りたくなかったら・・・「秘伝」を伝授しよう。
 ハブラシと同時にフロスを使うことである。

 しかも「歯が生えてから数ヶ月〜1年間」くらいが勝負である。
 一番大切な時期は大体6歳から7歳である。(もちろん乳歯の時期も大事だが)

 歯を磨く際は、噛む面にある溝を徹底的にゴシゴシこするのが良い。
 食事、あるいは間食の後なるべく早いうちに「洗口」するだけでも全然違う。

 12歳くらいまで、順次生えかわって永久歯になるが、この時期まで上記の磨き方をしていれば、概ね一生虫歯に縁のない生活が送れるだろう。

 そうそう、6歳ともなれば、自分で歯磨きもフロスも使える。柄が付いた「U字型」のフロスはうちの6歳も自分で使っている。3歳から自分でやっていたが・・・
 ちなみに「フッ素塗布」なんか一度もしたことはない。

 甘いものやジュースを特別に避けていたわけではない。
2001/06/15 (金)

フッ素の功罪
 ちなみに「水道水フッ素推進派」と「反対派」の意見をまとめてみよう。

・フッ素推進派
 フッ素により虫歯が減ることは間違いない。すでに欧米で水道水に添加している国々では効果を挙げている。
 虫歯が出来てから治すよりも、予算的にも低く抑えられるはずだ。

・フッ素反対派
 フッ素が虫歯予防に効果があることは認める。ただし、公共の水道にフッ素を添加することは好ましくない。なぜなら、「虫歯予防にフッ素の力を借りる必要がない人」まで、無理矢理薬品入りの水道を飲まなければならなくなるからである。
 また、添加量が何らかのトラブルで多くなりすぎると、急性中毒(下手すると死に至る)もありえるし、慢性的な過剰摂取では「斑状歯」になる恐れもある。

 上記の意見にはそれぞれもっともとうなずかされる。

 僕の意見?どちらかと言えば、反対である。

 水よりジュースの方をたくさん飲むようなコドモには、恐らく効果が出ないだろう、ということと、「フッ素入りの水道を飲んでいるから大丈夫」と過剰に期待する親御さんが多数いたら、もしかして「虫歯が増加する恐れ」すらあるのではないかと思っているからである。

 そもそも、虫歯ができるのは「歯が生えた後の数ヶ月からせいぜい1年間」である。
 でも、そのことはほとんど誰も気づいていないし、誰も言っていない。(僕だけの持論かも知れない・・・)
2001/06/14 (木)

実際の効能
 お母さん方の嘆きを時々耳にする。

 「ウチの子、何回もフッ素を塗ってもらっているのに、虫歯ができるんです。フッ素って本当に効果があるんですか!?」

 これはよくある誤解が元になっている。
 「フッ素」は虫歯をできなくする魔法の薬ではないのだ。あくまで、歯の質を「虫歯になりにくくする」だけで、「金輪際虫歯にならない」というものではない。

 ここら辺はフッ素塗布を施す側の説明不足もあるだろうし、親御さんの認識不足とフッ素に対する過剰な期待もあるだろう。

 逆にフッ素塗布などを一切していなくても、虫歯が一本もない、というお子さんもたくさんいる。
 キシリトールなんかもそうなのであるが、「虫歯になりにくい」とか「虫歯を抑制する」いう触れ込みが付くと、親御さんは飛びつくようである。
 僕はキリシトールは「製菓メーカー」の策略だと思っている。

 僕が頭に描く「策略」とは次の通りである。
 まず「甘いお菓子はコドモ達に売りつけたい」でも、お母様たちは「甘いものは虫歯の原因になる」と思っている。
 だから、「虫歯になりにくい、あるいは抑制するという触れ込みの甘味料を使って、お菓子を売り出す」ことで、コドモを甘味に慣れさせる。

 そして、甘味の味をしめたコドモは成長しても甘いお菓子を食べつづける・・・
 こんな策略を製菓メーカーは企てているのではないかと思っている。

 (もし「万が一」違っていたらごめんなさい!)
2001/06/13 (水)

予防とフッ素
 「予防」というのは健康保険の適応になっていない。
 本来は「予防」を徹底することで、医療費は抑制できるはずなのであるが、種々の要因で見送られている。

 最大の問題は「証拠が残らない」ということであろう。
 例えば、歯を削って詰めました。ということであれば、なんらかの証拠が残る。仮に医療機関がズルをして、やってもいないことをカルテに書き、レセプトを提出しても、最終的にはその悪事がバレる可能性はある。

 ただ、フッ素を塗りました。と言っても証拠は残らない。患者さんとの間の信頼関係だけに頼らなければならない。
 恐らく現状では、こういうことに保険適応となる望みは薄いだろう・・・

 さて、歯科における「フッ素」の論争はすさまじいものがある。
 フッ素は認識と使い方を誤らなければ、「有効な虫歯抑制の手段」となりうる。これは概ね証明されているらしい。

 フッ素は歯に直接塗る、あるいはフッ素入りの洗口剤を使って「歯に直接作用させる」という手段と、水道水などに添加して一旦身体に取り込んだあと、唾液から歯に作用させる、という二つの応用手段がある。

 前者は歯医者でもやっているし、またフッ素入りの歯磨き粉なども発売されているので、馴染みがある方も多いだろう・・・

 後者は欧米では積極的に取り入れている国もあり、「一定の効果を挙げている」らしい。
 我が国でも一部の自治体が「水道水にフッ素を添加する」ことを表明し、最近また歯科医師の間でも「賛否両論」渦巻いている。

 数回に渡って、予防とフッ素に関して書いてみる。
2001/06/12 (火)

成長のあかし
 昨日、6歳でもなかなか治療をさせてくれない、と書いたコドモだが、今日「一人で入ってごらん」と言ったら一人で治療室に入ってこれた。

 今までかなりの回数通院してきたが、いつもお父さんかお母さんと一緒にしか入ってこれなかったのに、大きな進歩である。

 一番最初はメソメソしていて、ちょっと治療用の器具を口に入れるのも大変だったのであるが、だんだんと慣れてきて、ほとんどの治療は大丈夫になった。

 今日は虫の部分を削って詰める治療だったが、ちゃんとやらせてくれた。

 利発そうなコドモだったが、最初は非常にひよわに見えたものだが、ここ数週で随分たくましく感じられるようになった。彼自身もだんだん自信が付いてきたのだろう。来るたびに口数が増えて、会話ができるようになった。

 他人のコドモでも成長していく過程を見るのは喜ばしいことである。
 ここが「大人の治療」にはない楽しみである。
2001/06/11 (月)

コドモの成長
 本題に戻そう。

 コドモの治療は難しい。いろいろと難しいことがあるのだが、まず大抵はじっとしていてくれない。特に6歳未満ではそれが顕著である。

 不思議なことに「3歳」でも全くみじろぎひとつせず、治療に応じてくれる子供もいる反面「6歳」でもできないコドモがいる。

 大抵は保護者が付き添うが、3歳でも「一人でやってみようか」と言って、一人で治療室に入り、治療できるコドモもいれば、6歳でもそれをさせてくれないコドモもいる。

 これは「小児科」のジャンルでも問題となっていることなのであるが、6歳未満の治療費は大人の約1.5倍に設定されている。
 種々の要因で「大変だ」ということで、その分加味されている、と理解している。

 でも3歳でも大人同然、まったく手がかからず治療できてしまう場合もあるし、逆に6歳でも普通に治療できず、仮に2倍の治療費をもらっても割りに合わないと感じてしまうケースもある。
 まあ、これは大人でも言えることなのだが・・・

 つくづく「色々な成長過程があるものだなあ」と感じる。
2001/06/10 (日)

事件の背景
 このサイトは歯科医のページであり、犯罪を検証するトコロではないのは百も承知であるが、昨日の話題に関して以前から感じていたことを少し述べたい。

 昨日書いた事件以降も「刺傷事件」が相次いでいる。
 お気づきの方は少ないと思うが、いずれも西日本である。

 実は以前から、凶悪な、そしてわけの判らない事件は「西日本が多い」と感じている。

 もちろん札幌でも犯罪はある。未解決のタクシー強盗やコンビニ強盗、祭会場での爆弾事件なんかもある。決して100%安全な街だとは思っていない。今から2〜30年くらい前なんかは「爆弾テロ」なんかが頻発したものだった。
 そう言えば、記憶に新しい「動物帽の男」も札幌出身である。
 事件は東京で起こったが・・・

 ただし、訳も判らず刺した、刺された、という事件は少なくとも東北以北ではあまり聞かない。もっと絞って言えば、西日本に多い気がする。
 あくまで統計をとったとか、確たる事実関係を確認した上でのハナシではないが・・・

 凶悪犯罪は概して「人口集積度」が高いところの方が起こりやすい気がする。
 もちろん、先日の弘前での「消費者金融放火事件」のように地方都市でも見受けるが、やはり東京や大阪の方が群を抜いて多いと感じる。
 もともと人口が多いから当然と言えば当然かも知れない。

 ニューヨークなんかも犯罪が多いことで知られる。

 「集積する」ということは大抵は便利さに繋がる。経済効率も一見高くなるように見える。でも恐らく人間社会の「負の面」も集積されるに違いない。

 西日本で訳の判らない凶悪犯罪が「多いように感ずる」ことに関しては自分でも「合理的な解釈」ができないでいる。
 もしかしたら、「北日本」に住む自分が「凶悪犯罪から遠いところに住んでいる」、と思い込みたいだけかも知れない・・・
2001/06/09 (土)

親子は親子
 この件に関しては今月のテーマからは離れるが・・・

 大阪の小学校での児童大量刺殺事件はひどい。ありたきりの言葉しか書けないが、酷いとしか言いようがない。

 久々に「胸がムカムカする」事件である。

 僕が気になったことの一つ・・・電話で「事件を起こした犯人の父親」がインタビューに対してコメントしていた。これが実に「淡々」としているのである。
 まるで「ヒトゴト」であるかのような喋り口であった。
 「すでに勘当しているから私には関係ない」みたいなことを言っていた。

 いくら勘当していても、血は繋がっているだろう!
 テメーの息子が起こした大事件だぞ!
 世間に対して「うちの息子が大変なことをしでかしてしまい、本当に申し訳ございません」の一言も言えないのか!

 この親あってのこの子だな、と思った。
 まあ、血の繋がった我が子を平気で虐待死させる親もいる。

 どうかしている。
2001/06/08 (金)

サホライド
 検診をしてもう一点気になったことがある。

 サホライドを施されたお子さんが結構いたのである。
 サホライドとは「銀とフッ素を含む進行止めの塗り薬」である。これを塗ると虫歯の部分に銀のイオンが付着して真っ黒になってしまうのである。
 確かによほど深くない虫歯の場合、進行はある程度収まる。

 元々の虫歯の部分がさらに黒くなるので、格好が悪い。

 僕も低年齢児で、どうしても治療に非協力的で、かつ虫歯に対しては何らかの処置をしなければならない場合は使うこともある。
 でも、その後経過を見て、「削って詰める治療ができるようになったら、きれいに白くしましょう」という前提でサホライドを塗る。

 塗りっぱなし、黒い歯のまんまで放置することはしたくない。

 案外、コドモは気にしているものである。
 もともとの虫歯より黒くなるのだから、当然である。

 そして、僕はこのサホライドを塗るという治療は、厳密には「治療」だと思っていない。治療の「治」は治すということである。少なくとも見かけは白くしたいものである。
2001/06/07 (木)

早期発見・早期治療
 昨日、今日と早速「検診で虫歯を指摘された」というお子さんが治療に見えた。
 いずれも小さな虫歯が数本のお子さんである。どの虫歯も銀歯にすることなくその場で詰めて治せる程度の虫歯なので、3回も通院すれば完治してしまうだろう・・・

 これは典型例なのであるが、虫歯は症状が出ないうちに早めに治した方がいい。
 他の疾患と違って、症状が出ないから放っておいてよい、ということは「虫歯に限って」はないのである。

 特に歯と歯の間の虫歯は「確実に」時間の経過と共に進行してしまう。
 乳歯は「歯の大きさに対して神経の入っている空洞が大きい」ため、すぐに神経に行ってしまう。またなぜか乳歯はギリギリにならないと、症状が出ない。

 また小さければ小さいうちの方が「跡形もなく」治療できるのである。

 昨日こられたお子さんなどは「検診の一週間前にかかりつけの歯医者にかかったが虫歯はないと言われた」と言っていたが、これは信じられないことにかかりつけの歯医者の見落としであった。

 救われたのは、いずれのお子さんも「治療に協力的」であったことである。
 口を開いてすらくれないお子さんもいるのだが、早めに治療に来られるお子さんはやはり治療も早い。皮肉なものである。 
2001/06/06 (水)

一生の虫歯
 昨日の幼稚園の検診からず〜〜〜っと悩んでいることがある。
 小さな虫歯が一本二本あるようなコドモは問題ない。たいしたことない。

 10本以上虫歯があるコドモさんのことが気になって仕方がない。

 僕は「検診をするためだけ」に幼稚園に雇われたつもりはない。
 いかに、「園児の虫歯を減らし、健康的な生活を送っていただくか」を思索して実行に移さなければ意味がないと思っている。

 10本以上虫歯のある子の親御さんは、恐らく今回の「検診結果」をまともには受けてくれないであろう。
 それはハナから判っている。
 何か事情があるにしても、相談だけでもしてくれたらいいんだけどなあ・・・

 そのまま放っておくと、多分「一生」虫歯で悩むことになるんだけどなあ・・・
2001/06/05 (火)

「補足」
 カウンター「14000」をゲットされた方は、御連絡下さい。
 最近、せっかく幸運を掴みながら(というほどのものでもないですが・・・)申告されない方が多いです。
 まあ、その分仕入れた賞品は後々まで利用できますが・・・
2001/06/05 (火)

重度の虫歯
 今日は、近くの幼稚園の検診にでかけてきた。

 その幼稚園の検診は初めてだったのであるが、予想していた通り、以前のコドモ達に比べて虫歯のある子の数は減少していると思った。
 また虫歯があっても本数はわずかか、きちんと治療がなされている子が大半である。

 ただ、残念なことに「ものすごい数(10本以上)」の虫歯が手付かずである子が数人いた。クラスに一人くらいなのだが・・・

 歯磨きがどうこうとか、口の中の管理がどうのこうの、という以前に何か家庭に問題があるのではないかと感じられた。
 昨日の新聞記事のことも、頭をよぎった・・・

 正直いって、口の中全体にほとんど虫歯があり、しかも歯の原型をとどめていないくらいの虫歯を放置されているということは「一種のneglectではないか」とすら思った。

 何らかの事情もあるのかも知れない。もしかしたら、ご両親とも働きにでかけていて、なかなか歯医者に連れていけないなどといった理由があるのかも知れない。
 でも、コドモは可哀想である・・・
2001/06/04 (月)

虫歯と就寝時間
 今日は「虫歯予防の日」らしい。
 単に語呂合わせの日付由来だ・・・本当は「毎日が虫歯予防の日」でなければならないはずなのだが・・・

 北海道の地方紙に特集記事があった。
 児童の就寝時間が遅いほど、虫歯を有する率が多いらしい。夕飯を食べたあともダラダラ起きていると、甘いものやジュースを口にする可能性が高く、そのせいで虫歯になると書いている。

 これは本当か?
 どうせ、また「たいした調査や研究」もせずに誰かが提唱しているに違いない。と言うよりも、表面的なところしか見ていないように思う。

 6歳未満のコドモでも11時以降まで起きている、ということがあるらしい。
 これは我が目を疑う。そう言えば、近くのスーパーやコンビニに夜10時くらいに買い物に行くと、3歳くらいのコドモを連れた親に出くわすことがある。

 そもそも、この「生活パターン」が間違っているのではないだろうか?
 つまり、「コドモの生活パターンを律することができない」家庭で虫歯予防を徹底するなどといったことは、土台無理なハナシと思われるのだ。

 しつけのためと、8歳のコドモを木に吊るし、死なせてしまうという痛ましい報道がまたあった。どこかおかしい。狂っている。
2001/06/03 (日)

乳歯の使命
 乳歯はどうせ生えかわるからどうでもいいや、と思われている親御さんが時々いらっしゃる。

 これはとんでもない誤解である。

 乳歯が使命を果たさなければならない期間はどのくらいだろう?
 通常、前歯は1歳直前から順次生えてくる。そして6歳から7歳にかけてだいたいが生えかわる。
 奥歯は遅くとも2歳くらいまで生えてきて、だいたい10歳から11歳くらいまでで使命を終える。

 要するに前歯で5〜6年、奥歯で9〜10年、用をなさなければならない。

 よく考えて欲しい。人間はこの期間に一番発育するということを。
 そして、その間の「口腔内の管理」が一生を左右するということを。

 乳歯はいっぺんに生えかわるわけではない。虫歯があると、乳歯の奥歯の奥から生えてきた「永久歯」にも虫歯は飛び火する。6歳で生える「第一大臼歯」という歯である。
 その後順次生えかわる永久歯にどんどん連鎖していく。

 虫歯は「感染症」なのである。
2001/06/02 (土)

精神年齢
 昔からコドモが好きだった。特に小さなコドモが好きだった。
 自分自身が「コドモ」なのかも知れない。

 コドモの純真無垢なところが好きなのかも知れない。まあ、これは性格だから何とも説明が付かないだろう。逆にコドモの嫌いなヒトもいるし・・・好き嫌いに大した理由も理屈もない。

 そんなわけで、大学卒業前から「小児歯科」に残ろうと考えていた。
 毎日たくさんのコドモと接することができるのが「楽しみでしょうがない」だろうとタカをくくっていた。

 コドモとコミュニケーションをとるのは自信があった。自分の精神年齢を自由にコントロールできると過信していたためである。
 オトナはコドモを経験したことがあるので、ある程度コドモの考えや行動パターンを理解できる。でもコドモにはオトナの経験がないので、それはできない。

 コドモと融和しようと思ったら、こちらの精神年齢をコドモに合わせるのが一番である。
2001/06/01 (金)

僕と小児歯科
 (今月頑張れば、「日誌一周年」を迎えることができる・・・頑張ろう・・・)

 さて、わけあって今月は「小児歯科」について集中的に連載するつもりでいる。
 最近、コドモの患者さんが増えてきているし、そもそもこのホームページは小児歯科の話題が今までほとんどなかった気がするからである。

 メールで「小児歯科」にまつわるご質問をいただくこともあるし・・・

 大学卒業後は2年という短い間ではあったが、母校の小児歯科講座に在籍していた。この2年間は大学卒業から今までの期間の中で、一番「濃い」時間を過ごしたと言っても過言ではない。

 概して「しんどい」ことが多かった2年間だが、僕の「歯医者としての基本的なスタンス」を身に付けることができた2年間だと思っている。

 もちろんその後の札幌医科大学の口腔外科も、開業医への勤務も、またそこの分院の雇われ院長経験も大変勉強になったと思っている。
 でも、基本的は「歯科」という事象に対する根本的な「考え方」は依然、小児歯科講座で身に付いた考え方をずーっと踏襲してきたように思う。

 そんな経験をもとに一ヶ月書き綴るつもりである。

2000年: 7月号 8月号 9月号 10月号 11月号 (以上、雑記)
2000年:12月号 「カレンダーと時間のナゾ」
 
2001年: 1月号 「バカは風邪ひかない、と進化論」 
2001年: 2月号 「歯はなぜしみるのか?」
2001年: 3月号 「僕のIT革命」
2001年: 4月号 「医療と経済」
2001年: 5月号 「歯医者の独り言」