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「間違いだらけの歯医者さん選び」

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3-1: 歯医者の質
 歯医者の数がどんどん増えています。もちろん自分も「増えてきた」歯医者の一人ではありますが・・・
 数が増えると「質」が向上すると思っていませんか?
 例えば、郊外の電気店の近くに別の電気店ができますと、必ず値引き合戦がおこります。ガソリンスタンドも向かい合っていようものなら、片方が値下げすれば必ずといっていいほど、もう一店の方も追随するでしょう。
 携帯電話も持つ人が増えればいろんなサービスが付加されますし、料金もどんどん安くなっていきます。

 一般的に数が増えると、消費者にとっては有利な方向に向かいます。
 歯医者はどうでしょう。「歯科医院」が必要以上に増えたからと言って、治療の質が向上するわけではありません。僕の歯科医院の向かいに新たに別の歯科医院ができたからと言って、急に今までより丁寧な治療を始めたら、以前は手抜きしていたことになります。
 また、保険で治療している以上、料金は全国一律で値引き合戦も起こりえません。(保険外の自費の料金は多少下げられるかもしれませんが)
 あとは夜9時まで診療するとか、日曜日も診療するなどの差別化が考えられますが、僕はそれをする気も現段階ではありません。理由は今度書きます。

 残念ながら歯医者の数が増えても、基本的に「質」は向上しません。むしろ僕は低下すると思っております。
 
 一般的に経済活動は需要と供給のバランスの上に成り立っています。歯医者の数が必要以上に増えても、患者さんの数が増えるということはありません。(もちろん、痛くない丁寧な治療を心がければ、今まで歯医者にかかりたくなかった「潜在的な」患者さんを掘り起こすことは可能です)
 つまり歯医者が増えると、歯医者一人あたりが診る患者さんの数が減ります。
 そのしわ寄せは、歯科医院一軒あたりの収益を悪くするのは当然なのですが、もっと深刻な問題が起こっています。
 卒業して間も無い歯科医師が研修できない、という問題です。

 ある会合の席でベテランのドクターが嘆いているのを耳にしました。
 その先生はある大きな病院の歯科口腔外科の医長をされている先生です。
「最近の若いドクターには仕事をさせられない。麻抜させても遅くてだめだ。大臼歯なんか一度の治療で一根管しか開けられない」---わかりやすく書くと、「奥歯の神経を取るときに、通常3〜4本ある神経の一部しか取ることができない」ということです。
 
 こういった現象はあらゆる卒後の研修機関で起こっております。

 この問題につきましては、どういう道筋で歯科医師が養成されるか、ということも含めて、次槁詳しく説明いたします。

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