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「間違いだらけの歯医者さん選び」

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1-3: 「説明をしてくれる」歯医者さん(1)
 「インフォームドコンセント」という言葉をご存知でしょうか?
直訳すると「説明と同意」、さらに解説しますと、
「検査や治療に関して、患者さんの納得が得られるように説明し、何かする前に患者さんの同意を得ること」
 僕はここまでやらなければ「インフォームドコンセント」は達成されていないと思います。

 今はさすがに、椅子に座ったとたん、何も言わずに椅子を倒され、いきなり歯を削り始める、という歯医者さんは少なくなったと思われます。

 でも一昔前まではこれが主流だったのでしょう。
 医者・歯医者たるもの、「患者の疾患を治すのが目的」である。それを達成するのに説明もへったくれもない、と考えられていたかも知れません。
 あるいはまだ医療機関がすくなくて、患者さんが待合室にごったがえしており、十分な説明などする暇がない、という現実があったかも知れません。
 
 ある本にこんな逸話が載っていました。
 患者さんは初診の時に、保険証を提示します。通常これは「保険の範囲で治療して欲しい」という暗黙の意思表示なのです。
 歯医者さんは保険で治療してしまいました。でも患者さんは怒ったのです。
「私は上流階級の人間だ、保険の歯を入れるとは、人を馬鹿にするな!」

 まあ、こういったことはあまりないでしょう。逆はありえるかも知れませんが。
つまり、保険証を出したのにも関わらず、何も説明を受けずに保険外の治療をされ、治療後高額の請求をされる。ということです。

 治療法ひとつとっても、ちょっとした行き違いや言葉の解釈の食い違いから大きな問題に発展しかねません。
 
 以前、大学病院の口腔外科に勤務していた時のことです。
 ある患者さんとその担当医が、少しもめているのを耳にしました。双方の言い分を聞きますと、こうです。ドクターは「前歯の神経を取らなければならないので、歯をちょっと削りますね」と説明し、治療にかかりました。
 神経を取る治療をするときは、前歯の場合通常裏から穴を開けて治療します。その際、あとで噛んでも痛くないように少し噛み合わせを落とすことがあります。
 当然1ミリでも歯が短くなると、左右の対称性が崩れて一時的に見かけは悪くなります。
 患者さんはそのことに不満を持ったわけです。

 みなさんもそう言う経験はありませんか?
「虫歯があるので削って型を取って、後日銀歯をつめますね」、と言われ、
後日、がばっと目立つ銀歯を入れられた、という話はよく聞きます。

 先ほどの「上流階級」の患者さんではありませんが、当院にいらした患者さんでも
「他の歯医者で、保険の範囲で治しますねとだけ言われ、前歯に冠を入れてもらったら、裏が金属だった」
と、不快感を表していた方がおりました。
(通常保険の範囲で前歯に被せる冠を入れると、裏は金属になります)
 裏が金属の歯を入れられるとは、あらかじめ聞いていない、というわけです。

 今、何らかの「説明」をしない歯医者さんはほとんどいないと思います。
 次槁では「説明」の質について書きます。

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