よく、「成功哲学」などの引き合いに出される「象の心理」は本当でしょうか? 改めて、内容を記しますと・・・ 「象は小さいうちに、頑丈な鎖で頑丈な杭に繋いでおくと、逃げるのをあきらめる。 そして、一度あきらめると、大きくなってからも逃げ出そうとは思わない」 これを人間の心理にもあてはめています。 「昔、出来ないと思っていたことも、視点を変えたりできると思えば出来る」 ということに意識をすりかえるのです。 これは2点で間違いを含んでおります。 ひとつは、象は本当に大きくなって「鎖をはずすのをあきらめて逃げ出さないのか?」ということです。 小さい頃から人間に飼いならされ、半ばペット化した象が、大きくなって今更群れには戻れないとあきらめているかもしれないし、はたまた、適度に芸をし、あるいは適度に労働すればエサにありつける、ということが判って、人間と共存していく道を積極的に選んでいるかも知れないのです。 意識の持ち方を変えて、「成功」の人生を切り開こう、という考え方に賛同できなくはありません。ですが、心の中を見えない象を引き合いに出すのは間違いです。 今一点の間違いは、「象と人間を一緒にするな!」ということです。 鶏はガラスという存在を知りません。ですから、ガラスの向こうにエサを置くと、必死にガラスに向かって突進するそうです。でもぶつかってしまう。 何度やってもガラスを迂回するという発想ができないそうです。 もしこんなことを人間の「成功哲学」にもちこまれたらどうですか? いずれにしても、象と人間の思考回路を一緒にしないでいただきたい! 戻る |